超えられない壁
アメリカに飛び立つ日程が近づいている。
それなのに、ビザ発行に必要なアメリカ大使館との面接に寝バックれをかまし、再度取得していただいた日程にも遅刻していくというジャマイカ人もビックリなジャパニーズぶりを見せつけた俺は今非常に焦っている。
なぜならば、向こうの学校の受け入れに必要な書類に不備があったのだ!なんということだ!それが発覚したのは先週のことである。
1月ごろに学校と連絡をとり、必要書類等を一式送っていただいた。とりあえず、難しい英語が多すぎてよく理解は出来ていないが、持ち前の適応能力を遺憾なく発揮し、契約書類は大体ここら辺にこーゆーこと書いとけばなんとかなるやろ精神で全てにサインを書き終了!
そして、自分のパスポートと銀行の残高証明書(アメリカで生活するにあたって自分にはこれだけの資金力があるんやで!と示す書類)を揃え、送付完了!後は、学校の受け入れを待つだけだ。
学校からも、我が校を選んでいたたいで誠にありがとうございます。書類を確認してご連絡します。と英語でかなりな低姿勢。パソコンに向かって土下座しているに違いない。
なにがアメリカだ!ニューヨークだ!トランプだ!ちょろいもんだぜ!こちとら、渋谷のスクランブル交差点をスマホいじりながらでも誰ともぶつからずに抜けられるほどのシティボーイだぜ!アホか!俺をビビらせたいなら核兵器ぐらい持って来やがれってんだ!
そう思っていた矢先、学校からメールが。また俺に気を使ったメールでも送って来やがったかと、文面を読んでみた。
「あなたの残高証明書とパスポートの名前のスペルに相違があるため、書類を申請出来ません。」
!?!?!?なんということだ!そんなはずはない!三井住友でパスポートまで見せて発行した残高証明書だぞ!
しかし、現実は無情。残高証明書を確認してみると、読みは合っているがスペルは間違っている現実。両親に相談すると"ややこしい名前してるからだよ!"と突き放される。あんたらが付けたんだろ!
学校にメールを送る。
「残高証明書を再発行して再送します、、、入学に間に合いますでしょうか??もうフライトのチケットもゲストハウスも大使館との面接の日程も決まっているんです。助けてください。。ホントにお願いします!!」
「間に合わないかもしれませんね。」
いきなり冷たくなる学校。お前らそれでもニューヨーカーか!世界の警察アメリカ国民なのか!お前らがTPP提議したくせに、都合悪くなるとすぐ破棄しやがって、本当にクソ国民だな!
しかし、ツベコベ言ってもしょうがない!これは確実に三井住友銀行のミス!何があってもあいつらのミス!怒りを抱えながら下北沢支店に向かった。
発券機の前で笑顔で待ってる警備員のじいさん。今日はどのような内容ですか?なんて聞いて来やがる。内容も何もねぇ!あんたらのミスだ!こっちは10万近くするフライトのチケットが飛びかけてんだぞ!
そう怒鳴り散らかしたい気持ちを抑え、経緯を説明。大変失礼しました!窓口でその経緯お話ください!と、丁寧な対応。
まぁ警備員に言ってもしょうがないのだ。窓口のヤツをバチバチに詰めたるわ。フライトに間に合わなかったら損害賠償だぞ!
20分ほど待ち、自分が呼ばれる。さぁなんて言ってやろうか!ここは弱気になったら負けだ!と言うか俺は何も悪くねぇ!あんたらのミスだ!怒鳴り散らかすからな!!裁判だ裁判だ!怒りをフツフツと煮えたぎらせながら、窓口に向かう。
そして、席について目の前の女性スタッフを見て、膝からくずれおちた。
「かっ、カワイイ…!」
なんということだ!窓口スタッフが美しすぎる。新垣結衣かと思った。これではクレームが言えない…!
敬意を説明すると、困り顔をしながら平謝りしてくるガッキー。まぁまぁ大丈夫ですよ、お姉さんのせいじゃないじゃないですか笑 と、カッコつけてしまう俺。
※写真はイメージ
店長に相談します!と、そのポニーテールをなびかせながら後ろに消えていくガッキー。忙しいのにすいませんね、、、とまたもカッコつけてしまう俺。
※あくまで写真はイメージ
こんな失礼なミスをすいません。。と、その美しい顔を歪めながら頭を下げるガッキー。いやいや、閉店間際に発行の手続き取ってもらったので、そーゆーミスありますよね笑 と、謎の理由を並べてカッコつけてしまう俺。
※いやだからマジで写真はイメージ
結局、通常一週間かかるところを2日で発行してくれることになり、一件落着。正直間に合うのかどうか微妙だが、何がどうであれ相手がガッキーなら一件落着だ。むしろご馳走さまです。
そして、2日後届いた書類を見てみると、スペルは合っている、しかし今度は、名前と名字が逆である。チクショウ!三井住友!!今度は男性職員出しやがれ!!
男にとって超えられない壁。それは美人という壁だ。