カニエプロモーションの歩き方
Alicia Keys / You Don't My Name
Nas / Nasir
The Life Of Pablo
先ほど言及した今年のプロジェクトに対して前作にあたるのが2016年に発表したアルバム"The Life Of Pablo"である。このアルバムは、当初TIDAL限定でリリースされ、カニエ本人が"このアルバムは生きている"という通り、配信されてからリリックやジャケ写のデザインなどのアルバムの内容が変わり続けるという、ストリーミング時代ならではの斬新な手法が話題となった。
Kanye west / The Life of Pablo
ここでもカニエのプロモーションが炸裂する。
アルバム配信に先駆けて、Rihannaが参加した"Famous"という曲がリリースされた。その曲のリリックで"I feel like me and Taylor might still have sex. Why? I made that bitch famous / 俺はテイラー(スウィフト)とSEXする気がするよ。なぜなら俺があいつを有名にしてやったんだ"とラップ。
これは、2009年のMTVアワードで、当時新人で19才だったテイラーの受賞スピーチの最中に泥酔したカニエが突如ステージに上がりマイクを奪い"いや本当に受賞すべきはビヨンセだから"と発言。テイラー号泣。という事件に起因する。
その後、スター街道を駆け上がったテイラーに対し、7年後にこのようなことをラップ。それに対し、テイラーも正式に反論した。
しかし、ここで終わらないのがカニエ。その後、Famousのビデオが公開。その中でなんと、自分や奥さんはもちろんテイラーやトランプ大統領までもがヌードでベットに横たわっているビデオを本人たちに無許可で公開。無事に大炎上。結果としてアメリカ国内を巻き込む大論争となり、作品自体も注目される結果となった。(もちろんヌードは本人ではなく、そっくりに作った蝋人形)
Kanye West / Famous
トランプ支持表明。そして「奴隷制は選択だった。」
そして、二年の時を経て2018年。突如Twitterを再開したカニエはアルバムリリースを示唆するとともに、自身がトランプ支持であることを表明。(2016年からライブのMCなどではトランプ支持者であると発言はしていた。)
my MAGA hat is signed 🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥🔥 pic.twitter.com/DrDHJybS8V
— KANYE WEST (@kanyewest) April 25, 2018
トランプ大統領のトレードマークである通称MAGA CAPに本人からサインをもらったとツイート。無事に大炎上。
さらには、アメリカのゴシップメディアTMZのインタビューに出演した際に、"Slavery is choice"400年続いた黒人の奴隷制は自分たちが選択したんだ、と発言。無事に炎上。
その後、突如新曲"The People vs Ye"をリリース。ここでなんと民衆役であるT.I.が一連の騒動をカニエに質問し、それを本人がラップで答えるという斬新な手法で世間に回答。さらには、プップピドューと言ってるだけの新曲"Lift Yourself"をリリース。(ただ、ビートはくそドープ)
Kanye West / Lift Yourself
そんな騒動に合わせてか、アメリカの人気番組SNLに出演したChildishGambinoは、最近のカニエの問題発言をいじるコントを披露した後に、衝撃作"This Is America"を突如パフォーム。翌日に公開されたビデオ(ディレクターは日本人アーティスト)がさらに拍車をかけ、今や3億回再生を記録している。
Childish Gambino / This is Americaパーティーしたいぜ!と歌う人々に対して銃を打ち込み、これがアメリカだよ。と歌うその姿は、いやが応にもカニエやトランプに向けられたものと考えてしまう。
良くも悪くもこのような形でアメリカ国内が全てカニエを発端とした話題に独占されることとなった。
そしてついに、世界はカニエのリリース月間に突入する。